メタ視点で選択肢を検討する

メタ視点とはこの場合においては「出題者の視点」のことです

宅建試験の目的を理解する

宅建業法の目的をまとめると

  • 宅建業の業務の「適正」な運営の確保
  • 宅地および建物の取引の「公正」の確保
  • 宅地建物取引業の「健全」な発達の促進
  • 購入者等の「利益の保護」
  • 宅地および建物の流通の「円滑化」

※鍵括弧は作者挿入

以上の目的を実現するために設定された法律です

つまり宅建業取引における「公平」「適正」を確保するための法律といえます

そして宅地建物取引士試験の制度はこの法律の目的を実現させるための施策の1つです

言い換えれば宅建の試験問題もこの法律の目的に則って作成されているということです

言葉にしてしまえば当たり前ですが、この事実を肝に銘じているかどうかで選択肢の判断が大きく変わってきます

以下に具体的な事例を挙げていきます

法律の抜け穴を示す選択肢について

宅建試験は宅建業取引における「公平さ」を確保するために出題されていると考えた場合、「法律の抜け穴を示す問題」は出題されません

つまり「法律の抜け穴を示す」選択肢は「誤った選択肢」と判断できます

農地法の場合

この考えは農地法の出題に顕著に表れています

農地法の選択肢には「登記上の農地」と「実際の農地」にズレがある場合の取扱いに関する知識が良く登場されます

この場合に農地法が適用されないとなれば、それは「法律の抜け穴」になります

つまりこの選択肢は「正しい」ことはあり得ないと判断できます。宅建試験の目的に合わないからです

例外を認めない選択肢について

先の例では「法律の抜け穴」を示す場合のことを挙げましたが、逆に「融通の利かない」選択肢というのも「正しい選択肢」とは考えにくいです

  • 「常に~である」
  • 「必ず~である」
  • 「例外なく~となる」

以上のような「どんな状況でも例外を認めない法律」では本来の目的である「適正」な取引の確保は難しくなります

また、法律以外の内容でも「強い表現」は例外を想定しないため、「間違った選択肢」であることが多いといえます

  • 災害などが起こった場合も義務を強制する
  • 例外なく安全だと言い切る
  • 別の方法で安全性や信用を確保しても禁止

といった状況になってしまっては「適正」な取引や安全性の実現は難しくなってしまうでしょう

ですのでこういった「融通の利かない規定」は「ありえない」選択肢の可能性が高いです

つまり「強い表現」の選択肢は「誤った選択肢」の可能性が高いといえます

「民法」以外で有効な判断

この「融通の利かない」選択肢の判断は「法令上の制限」「宅建業法」「五問免除問題」の科目で有効な判断基準です

この3つは具体的な規定に関する知識を問う問題ですので、「規定の例外事項を理解しているか」を問う問題が出題可能だからです

しかし「権利関係」の「民法」に関しては通用するとは限らないので注意が必要です

その理由は民法は「私法の基本法」であるためです

そのため(例外事項を含めた)具体的な施行は他の法律で実現され、民法では「私法の原理原則」を問う問題が大半であるからです

注意点

ここで挙げた「出題者視点での選択肢の検討」は有効な手段ですが注意が必要な点があります

それは問題と解く時の基本はあくまで「自分の知識に基づいて解く」ということです

出題者視点で文章を読むことは重要ですが、こだわり過ぎると「自分の知識」で解くことがおろそかになりかねません

ですのでこの方法で選択肢を検討するのは「自分の知識」で判断できないときだけに留めるようにしましょう

関連ページ

「勉強法」のページ

マークする習慣をつける:出題者の視点で判断した部分にはマークを付けて、見直した時に分かるようにしましょう

マークすべき部分:「融通の利かない」記述は「マークしておいた方がいい」候補といえます

「過去問分析」のページ

農地法:「法律の抜け穴」を示す選択肢が頻出問題となっているテーマです

景品表示法:「法律の目的が何か」という観点で勉強を行っていくと効率よく理解できるテーマです

土地に関する問題:「現実問題としてあり得るのか」という観点で選択肢を検討することが有効な問題です